エッセイ

庭

まだ夜が明けていなかったけど、いつもより早く目が醒めたので、湯を沸かし、ハワイ土産のコナ・コーヒーをいれたマグカップを持って庭に出てみると、お化けがいた。

お化けは膝から下が見えなかったので、立っているのかどうか分からない。
膝から下が折れ曲がっていて立て膝の状態かもしれないし、光の加減でちょうど見えないだけかもしれない。
お化けには足がなくて、ふわふわと浮かんでいる、と早合点するのはよくない。
以前、先入観でお化けを判断してはいけない、と別のお化けから教えてもらったことがある。

あれは4年前の雪がしんしんと降る2月の夜だった。
私が小道を歩いていると、前からお化けがこちらに向かって音もなく歩いてきたので、怖くなって「あ、お化けだ!」と叫んだら、後ろから肩をぽんぽんと叩かれ、それは「お化けではないよ、ただのひょっとこだよ」と、別のお化けに言われた。「なんだ、ひょっとこか」と、おさな心に安心したものだ。

ともあれ、それが私とお化けの最初の出会いだった。
それからというもの、私が「お化け」という存在を先入観で判断しようとすると、そのお化けは後ろからぽんぽんと肩をたたき、やさしく諭してくれるようになった。
「それはお化けではないよ、ただの残留思念だよ」「そのお化けはまだ完全に死んではいないよ、生きるか死ぬか、迷っている途中だよ」「お化けにだって心はあるよ。喜んだり傷ついたりするよ」等々。
大切なことはすべてお化けに教えてもらった。

私は庭のお化けにマグカップを渡し、もう一杯自分の分を持ってきて、庭を眺めながら並んで飲んだ。
「こんなに美味しいコーヒーをのんだら、眠れなくなるかもしれません」
お化けは言って、ほんとに眠らないで、ずっと庭に居続けた。今もまだいる。

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