第42節「来年もよろしく」
開幕直後の中断、感染対策、コロナ下での過密日程、あいつぐ選手の離脱、社長交代… 揺れに揺れた2020シーズンの最終節は、NACK5での大宮戦。晴天。
大宮も今季は苦しんだ。序盤は好調だったものの中盤以降に調子を落とし低迷。高木琢也監督は退任するとのこと。
この日のアルビは、1トップに田中達也をスタメン起用。今季初スタメン。大ベテランは走りに走り、背中で語ってくれた。相手DFへの猛烈なチェイシング。何回か見せた裏抜け。そして後半立ち上がりのシュート2本。
これが観れただけでも、今日は価値があった。
気持ちというのは、画面越しでも伝わるものだな。
不安定さと可能性
今日もアルベルト監督はチャレンジングな選手起用をした。GK藤田、DFに早川、マウロ、舞行龍ジェームズ、堀米。ダブルボランチに島田、高木。中盤二列目に、中島、本間、荻原の若武者トリオ。1トップに先述の田中達也。
この日は二列目の配置が流動的だった。左のクロッサーのイメージが強い荻原を右でスタートさせる。荻原の新たな可能性を見出しかけているに違いない。今は窮屈そうだけど、きっといつか開花するんだろう。
今シーズン、アルベルト監督によって新たなスタイルを獲得した選手は多い。本間至恩を筆頭に、早川、田上、堀米、大本、高木、中島、矢村… バルサ式の育成はダテじゃなかった。
正直言って、前半のアルビはボロボロだった。後ろが不安定で、ビルドアップもままならない。ホーム最終戦、高木監督の花道を飾ろうと、前から猛プレスを掛けてくる大宮の餌食になった。
多くの時間を自陣で過ごし、ミスから先制点を奪われ、味方同士の呼吸はほとんど噛み合わない。
それでも、二列目の3枚の流動性には来季への光明を感じた。本間も中島も荻原も、ポジションを入れ替えながら、ボールや敵の動き、配置に応じて、もっと柔軟に立ち回って相手ディフェンスを混乱に陥れられるはず。
高木、島田のゲームコントロールは、日に日に熟成されてきた。
“本職”左SBに入った堀米はプレーの幅が格段に広くなったように見える。
成長著しいGK藤田、後半投入された秋山も、来年は主軸として活躍して欲しい。
いくつもの可能性と不安定さが同居する、今シーズンのアルビレックス新潟は、間違いなく魅力的なチームだった。
来年はまた別の
1-3でフィニッシュ。この日の大宮は素晴らしく、新潟はよくなかった。大宮のプレッシングをまともに喰らい、ぜんぜん剥がせず、喘ぎながら時間が過ぎていく。中盤のフィルターも、後ろの踏ん張りも効かなかった。
2020シーズン、アルビレックス新潟の最終成績は勝点57の11位。
首位徳島は勝点84で、30ポイント近い開きが出てしまった。
だけど本当に難しかった今シーズン、これだけのサッカースタイルを作り上げ、選手の力を引き出し、さらに来季も続投してくれるアルベルト監督には「ムーチャスグラシアス」の言葉しかない。
長く厳しい42試合を戦い抜いた選手たちにも、スタッフの皆様にも、「おつかれさまでした。いいもの見せていただいてありがとうございます」という気持ち。
このオフで、またいろんな動きがあり、来年はまた別の、新しい、きっとバージョンアップしたアルビレックス新潟が立ち上がる。
監督の思想がブレることはないだろうし、2021シーズンも、ビッグスワンで、ボールを愛して愛しまくるサッカーが観られるのである。
来年もよろしくおねがいします!
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