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アルビ日記

【番外編】今季のプレミア、注目の5人(後編)

2021年02月24日(水)

PV 113

では前編に続いて、後編いってみます。(こういうのは書いてて楽しい)

ジャック・グリーリッシュ(アストン・ヴィラ)

前編の二人がどちらかというと後方の選手だったので、前めの選手を挙げてみる。

いわゆるBIG6ではない、中堅のアストン・ヴィラの10番、グリーリッシュ。イングランド人。ポジションは攻撃的MF。ヴィラでは4-2-3-1の2列目、「3」の左サイドに置かれている。

この人、現代サッカーでは絶滅危惧種になりつつある、古き良きファンタジスタの匂いがする。

ゆったりとして、プレスにも慌てない、泰然自若なボールの持ち方。ボールを晒したり隠したり、巧みにさばいて向き合うDFを翻弄。意表をついたショートパスを危険な角度で差し込むかと思いきや、「ここ見えてたんか!」ってびっくりするようなサイドチェンジやクロスを放ったり。かと思えば急にスピードをあげてドリブルし、二人くらい置き去りにしたり。いやスピードはたぶんそんなにないのでゴリゴリなドリブラーでは全然ないのだけど、緩急とタイミングで相手を置き去りにしたりするのだ。

要するに、「何かを起こす」感がぷんぷんなのである。

こういう選手は、例えばバルデラマとかルイ・コスタの時代はトップ下にばっちり居座っていた。王様でありゲームの支配者。ファンは彼らのプレーを見るためにスタジアムに足を運ぶわけで、彼らを削る守備者は常に悪者だった。
サッカーが研ぎ澄まされてどのチームもプレッシングが盛んになってくると、王様はトップ下で生きられなくなった。そうするとファンタジスタはポジションを一つ下げて、ボランチ(レジスタと呼ばれたりも)でタクトを振るうようになった。代表格はもちろんアンドレア・ピルロ。

そして現代、サッカーが複雑化し、どのポジションにも守備のタスクや動き方のルールが求められるようになると、ファンタジィを作り出す「だけの」選手はほとんど見られなくなった。

グリーリッシュが、小手先の、一瞬の創造性を醸し出すだけの選手、と述べる気は毛頭ない。プレッシャーのきついプレミアリーグの左サイドで、ボール非保持のときの仕事もしっかりとこなしながら、抜群の存在感を放っている。

けれど、そういう雰囲気を匂わせている、という事が言いたい。こういうファンタジスタ感を匂わせられる、そういう空気を身にまとうだけでも、現代サッカーではかなり稀有な存在なんじゃなかろうか。

あとやっぱちょっと、斜に構えてる感じというか、「皆と同じ色には染まらねえぜ俺は」という雰囲気をたたえている感じもあって、それはずり下げたストッキングとか、オールバック気味の髪型とか、削られたときの薄ら笑いとか、そういうところに表出されている。そういうのも悪くない。
何しろグリーリッシュは滅びたはずのファンタジスタの生き残り、末裔なのである。

アルビレックス新潟では、本間至恩とポジション、背番号が被る。プレースタイルは違うけど。残留してくれた本間至恩、今季も「違い」を創り出すプレーに期待。

ハリー・ケイン(トッテナム・ホットスパー)

4人目は王道。イングランド代表とスパーズのエースストライカー、ハリー・ケイン。

この人はもう地位も名声も充分ある人なんだけど、昨シーズン途中くらいからプレーの幅がかなり拡がった感がある。ただ前線で待って、来たボールを仕留めるだけのFWではない。バイタルエリアで体を張りボールを収めて時間を作るだけの人でもない。

このチームの左サイドで確固たる地位を築く韓国人ストライカー、ソン・フンミンとの関係性がすこぶるいいのだ。
ソン・フンミンは左からスタートしてポイントを作りつつ、中にカットインしてゴールに向かってプレーしたがる。あるいは、最初から斜めの動きで中央寄りで受けるとか。そして、実際に点をとっている。

こういう動きは勝手にやってしまうと、よくないことが露見してしまいがち。味方と被ったり、パスの出し手と呼吸が合わずボールを受けられなかったり、さらにカウンターを食らったときにポジションを空けているので起点にされたり。

ただ、中央最前線にいるケインがすごくうまいことやってる。必要に応じて前を空けつつ引いてボールを受ける。その受けるタイミングとか、位置取りがすごく良い。良いので、無理に体を張って、踏ん張ってなんとかギリギリボールを収める、ということもあまりない。飄々と受けて前を向く。

そしてケインが空けたところに、絶妙のタイミングでソン・フンミンが入ってくるのである。いいところで受けて前を向くケインから、入ってきたソンに決定的なパスが入る。これが現在のスパースのホットライン。これでソンは点をけっこうとってるし、ケインは逆にアシストが増えている。

イングランドのストライカーで、こういうタイプの人はあまりいなかったんじゃなかろうか。自分でも点をとるけど、味方も活かせるエースストライカー。

これが熟成してくると、ソン・フンミンとの関係性だけでなくて、他の二列目の選手や、3列目の選手との関係性ができてくると思う。そうなるとスパーズの攻撃は鋭さを増す。

今はたぶん新監督モウリーニョが守備を構築してる途中だと思うが、モウリーニョが築き上げた守備網と、ケインと二列目のコンビで、効率的に攻撃を仕掛けられる仕組みが出来上がるのが楽しみだ。来シーズンかな。

今季のアルビなら、セレッソから移籍してきた経験豊富なストライカー、鈴木孝司に期待。点を取ることが一番大事だけど、それだけではなくて、本間至恩ら活きのいい二列目とのコンビネーションが見たい。

ラルフ・ハーゼンヒュットル(サウサンプトン)

最後は監督を。

プレミアリーグにはいい監督がいっぱいいる。ビッグクラブだけでなく、中堅以下にも。それがリーグを面白くさせてる。

エバートンのアンチェロッティ、レスターのロジャーズ、リーズのビエルサ。色があって曲者で、ピッチで起こってることを観ながら彼らの考えていることを想像するのは楽しい。

その中でも一押しなのが、サウサンプトンのハーゼンヒュットル。

オーストリア出身の戦術家で、今をときめくドイツのライプツィヒを強豪チームに作り変え、チャンピオンズリーグ初出場に導くという、輝かしい功績の持ち主なのである。

ライプツィヒ時代にラングニックの薫陶を受けていて、戦術的にはシティやバルセロナの「ポゼッション系」の対抗馬とされる、「ストーミング系」の流れ。

プレッシングあるいは、ゲーゲンプレスを基調に縦に速いサッカー。ビッグクラブだとリバプールが近い。

掲げるサッカーはもちろん面白い。ボールサイドに人をギュッと圧縮するので狭い局面でカオスを作りやすく、バトルが発生しやすい。そこからガガガッと抜け出て高速カウンターで仕留める流れが鮮やかに決まるとかなり爽快。

ただ、ハーゼンヒュットルのいいところは、戦術もさることながら、その人間味なのである。

すごく、味のある、いい兄貴感が出てるんだよなあ。

話してるとことか、ピッチサイドで声出してるとことか観てても、相談しやすい、酒おごってくれそうな、いいおじさんであることが伝わってくる。(そういうとこはラングニックじゃなくてやっぱりクロップに似てる)

ハーゼンヒュットルのハイライトは、今年アタマのリバプール戦。なんとかもぎとった虎の子の一点を、チーム一丸、しのいでしのいでしのぎ切り、1-0で勝ちきった試合。

終わった後ハーゼンヒュットルは膝から崩れ落ちて、号泣していた。

DAZNで観ていた私ははじめ目を疑い(たかだかリーグ戦の一試合の終了直後、監督が泣くの初めてみた)、そして次第に感動が伝わってきて(今日のサウサンプトン、がんばってたもんなあ)、最後にハーゼンヒュットルにすこぶる感情移入してしまった(すばらしかったよ!ハーゼンヒュットルさん!いいチームを創り上げましたね!)。

戦術家であり人情味あふれるハーゼンヒュットルさん。南野のこと、よろしくおねがいしますね。

アルビレックス二年目のアルベルト監督も、もちろん展開するサッカーは面白いし、茶目っ気たっぷりの素敵なおじさまである。
頼みますよ、監督!


プレミアリーグはこれから佳境、ますます白熱するだろう。これから始まるJリーグもそれに負けずに盛り上がってもらいたい。

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