第3節「その攻撃はデザインされているか」
雨のピッチで苦しんだけど、今日もなんとか勝点1を掴み取れました。なかなか波に乗れない状態ですが、噛み合いだせばグッと良くなる空気感はありますよね
試合の背景
- ビッグスワン開幕ゲーム
- 土曜13:30キックオフ。雨
- 新潟はここまで2引き分け、山口は1勝1分で来ている
試合ダイジェスト
【前半】
システムも同じ、やりたいことも同じな両チーム。スリッピーなグラウンドに苦しみながらも丁寧にボール保持。終盤は新潟が押し込むが、ゴール前での迫力を欠き、スコアレスで前半を折り返す。
【後半】
58分、山口に先制点。左サイド沼田かの突破から中央で大槻が合わせる。新潟ベンチが動き、攻撃の選手を投入。77分にカウンターが決まり本間至恩が同点ゴール。最後は山口が攻め込むが新潟が凌ぎ、1-1で決着。
ワイドで仕掛けられているのは、山口のほう
ホーム開幕戦はあいにくの雨。新潟らしいと言えば新潟らしい。
かつてベルマーレで名CBとしてならした名塚善寛監督率いるレノファ山口を迎える。
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2節で少しいじったメンバーを、ちょっと戻した感がある、アルビのスタメン。
GK小島享介。DF藤原奏哉、千葉和彦、舞行龍ジェームズ、堀米悠斗。MF高宇洋、伊藤涼太郎、高木善朗。FWイッペイシノヅカ、本間至恩、矢村健。
加入が発表されたFWアレクサンドレ ゲデスはベンチ外。
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アルビはこの試合も4-3-3。今季はひとまずこれで行くみたいだ。そしてお相手のレノファ山口も4-3-3。そしてバックラインから丁寧に組み立ててていくやり方で、アルビとやりたいことが似てる。
山口のスタメンには酸いも甘いも噛み分けられる経験豊富なベテランが多い。
GKの関憲太郎(元仙台)、DFの渡部博文(元神戸)、FWの大槻周平(元千葉)。それからアンカーの佐藤謙介(元横浜FC)に、40歳の山瀬功治。
たぶんこういうメンバーの知見が存分に注入されていて、山口の4-3-3にはバランスが担保されていた。
プレスを仕掛ける位置、剥がされてブロックを敷くタイミング。これがコントロールされている。
攻撃のスピードを上げるところ、抑えるところ。これもコントロールされている。
さらにいいなと思ったのは、前線3枚の役割がはっきりしてるところ。
真ん中でゴールを狙い続ける大槻。それに対して両ワイドに開いて高い位置でボールをもらい、迷わず1対1を仕掛け続けるウィングの二人(吉岡雅和と沼田駿也)。
山口のウィング張り出し作戦が機能していたので、アルビの両サイドバックは山口のウィングが気になって高い位置をとりづらくなっていた。
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4-3-3は、このウィングの扱いがかなり重要だと思う。今日の山口のように明示的に1on1を仕掛けるタスクを与えれば、「ここで勝負」という共通意識がチームに生まれて、チームとしての狙いがはっきりしやすい。
山口の先制ゴールも左ウィング沼田の仕掛け、突破から生まれている。
まだ個が浮きがち
バランスが良い山口の4-3-3に対して、アルビの4-3-3はまだちょっと粗削りな様子が見てとれる。でもそのかわり、意外性と勢いを感じる。
アルベルト – 松橋式ポジショナルフットボールの一環なのかもしれないけど、良くも悪くもアルビはポジショニングが流動的。幅をとる選手がだれ、とかは決まっていない。
あくまで「その時その時で選手が判断して適切なポジショニングをとる」ということが推奨されている。
なので両ウィングの本間至恩とイッペイ・シノヅカも、タッチライン際に開いてボールを待って、相手のサイドバックを引き留めておく、ということはあまりしない。よく中に入ってボールを受けようとする。
で、サイドバックが高い位置をとりづらい今日のような展開の場合、ウィングまで中に入ってしまうと幅を取る選手がいなくなる。そうなると山口DFは、守るときの見る範囲を限定できるので、少し守りやすくなったりする。
今日のアルビの場合、効果的に幅をとれていなかったことが、攻めの威力を減じてしまっていたような気がした。
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ただ、同点に追いつくことは出来た。
あのカウンターは、決してアルビの狙いが炸裂したものではないはず。けれど個の力が際立った。奪った後の速いつなぎ、伊藤涼太郎の絶妙なスルーパス、そして本間至恩のランニングとフィニッシュ。
今後は、チームとしてデザインされた攻撃パターンの中で、個人能力を活かして欲しい。
そうすると何度も再現可能なパターンとして、本間のドリブルや伊藤のパスが見られるはず。
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本間や伊藤だけでなく、途中からトップ下気味に入った三戸のドリブルもFW谷口のシュートセンスも、可能性がほとばしっている。右サイドのイッペイも、まだ立ち位置を見つけきっていなくて後半なんかは沈黙していた印象があるけど、あのサイズでテクニックがあり、打開力推進力は素晴らしい。
まだ個々が連携しきっていなくて、それぞれ独力で打開している感じは否めないが、チーム戦術として攻撃がデザインされてきて、その上で彼らが躍動し始めたら、かなり面白いシーズンになりそうだ。
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