第31節「歌を歌う」
どちらかというと栃木の狙いがハマった内容でした。が、結果は2ゴール快勝。サポーターの声が強力に後押しした2ゴールに思えてなりません。監督や選手のコメントからもサポーターとの絆が伝わります。
試合の背景
- 8/14 日曜18:00キックオフ
- @カンセキスタジアムとちぎ
- 新潟2位、栃木15位
試合ダイジェスト
【前半】
最前線の矢野貴章を筆頭に高い位置からプレスをかける栃木。新潟は効果的な前進ができない。苦しい展開ながら40分、新潟が先制。トーマスデンからの縦パスを受けた伊藤が前を向き、ペナ手前左で待つ鈴木へ。鈴木は巧みなステップから左足を振り抜きゴールへ突き刺した。1-0で折り返し。
【後半】
後半開始早々、先制弾の鈴木が負傷交代。栃木が攻勢を強める。新潟は押し込まれながらも粘り強い守備。選手交代などでリズムを取り戻すと、86分、追加点。右ワイドに開いた松田にボールが渡り、中に走り込んできた藤原に横パス。藤原がダイレクトで流し込んだ。2-0で試合終了。
声出し応援
この試合は、Jリーグの「声出し応援の運営検証試合」。選手もスタッフもサポーターも、みんな心待ちにしていた模様。
私は現地に行けないからわからないけど、きっと感動するんだろうなぁ。久しぶりに聴く声援、コール。スタジアムを揺らす歌。
そんな意味でも今日のメンバーに選ばれた選手は心に期するものがあるに違いない。
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アルビのスタメンには、満を持して初登場のあの男が名を連ねた。
GK小島享介。DF藤原奏哉、トーマス・デン、田上大地、堀米悠斗。MF秋山裕紀、島田譲、シマブク・カズヨシ、伊藤涼太郎、小見洋太。FW鈴木孝司。
ケニア出身、南スーダンとオーストラリアの国籍を持つCB、トーマス・デン。楽しみである。
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試合は全体的に栃木ペースだったように思えた。
高い位置から果敢にプレスをかけアルビのDF陣に自由を与えない。それからサイドのディフェンスも苛烈。いい形で奪われ、ショートカウンターに結び付けられた場面が何度か。
でも逆に、今日はアルビの方もいい形のショートカウンターが繰り出せた。真骨頂である後方からの丁寧な組み立てではなく、中盤でボールを引っ掛け、相手の陣形が整わないうちに攻め切る。
この形が点を取るには最も効率がよく、ゴールの可能性が高いとされる。
今日のゲームは、栃木、新潟両チームともショートカウンターでのチャンスが多かった。
かつてユルゲン・クロップが言った「ゲーゲンプレスは最高のプレーメーカー」という言葉が頭をよぎる。
決めるか、決めないか
試合を通じて、両チームともゴール前のチャンスは同じくらいあった。それでもスコアは2-0。
ショートカウンターにせよ丁寧な組み立てにせよ、「何回相手ゴール前に迫れるか」というのはチーム戦術である程度上積みできる。10回同じ形でチャンスを作れたら、その「型」はチーム戦術の成功として考えて良さそうだ。「再現性」という言い方もできる。
だが、点を取るにはその先がある。チーム戦術とは別問題と言っていいかもしれない。
シュートチャンスを決めるか、決めないか。多くの場合、このシンプルな二択がサッカーの勝敗を決する。
それは何もシュート技術だけによるものではない。例えば対峙するGKの手の広げ方。DFの間合い、足の出し方。例えば疲労度。様々な要素が「決めるか、決めないか」を決める。
そして例えば、メンタル。
このメンタルの要素は多分に大きい。今日のアルビは、これが大きく左右したと思えてならない。
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栃木のチーム戦術に苦労していたアルビが、それに耐えた上で、前半と後半の終了間際にゴールを決めた。鈴木の左足も藤原の右足も、簡単なゴールではない。足が、ボールに、適切な角度と強度、タイミングで当たらなければ入らないゴールだ。
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Jリーグには開幕当初から「サポーター」という言葉がある。欧州のスタジアムはだいたい熱狂の渦だが、Jリーグはスタンドとピッチの(心的な)距離が近い気がする。
久しぶりの「アイシテル ニイガタ」の歌が届き、鈴木の左足と藤原の右足に乗った、というと言いすぎだろうか。
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そして歌は、元オーストラリア代表のセンターバックの胸にも響いていたように思う。初出場ながら難しいチーム戦術にフィットし、無失点に貢献した。一つ一つ確かめるようなボール扱い、パスをつける所の適切な判断、攻守におけるポジショニング。どれをとっても、なんだか真面目な人間像がうかがえるプレースタイルだ。
トーマス・デン。きっと好青年。これからもよろしく。
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