まあ、隅から隅まで読んだことないんですけど。読もうと思うとプレッシャーになるから、読まなくていいことにしましょう、という話です。

小説を読んでるとたまに、「読むものがないからたまたまあった新聞を、隅から隅まで読んだ。お悔やみ欄とか広告とかも含めて」みたいな記述があって、そんなものかな、と感心したりしました。あと、池上彰さんも隅から隅まで読んでる、というエピソードをどこかで見ました。それも何紙も。

でも裏を返せば、新聞を隅から隅まで読むのはレアケースってことですよね。読むものがないときとか、池上さんレベルの教養の持ち主とかでない限り、新聞は、隅から隅まで読まなくてOK、ってことになります。

じゃあ、どのくらい読むのか

さいあく、読まなくていいんだと思います。基本は、「見るともなく見る」くらいのスタンスで。

私見ですが新聞のいいところって、「儚さ」です。一期一会感がすごくある。
1日1紙。読んでも読まなくても明日には明日の新聞が来て、今日の新聞は過去の新聞になり、古新聞置き場に積まれる運命にあるわけです。

毎朝、あのなんとも言えない質の、シャワシャワとした紙の束が、ポストに投函されている。朝起きて、「さみー」とか言いながらそれを取りに行って、リビングに持ってきて、とりあえずテーブルとかソファの上に、ぽん、と置いておく。それだけでいいんです、とりあえず。それだけで日常が少し彩られる。知的な感触が微かに手のひらに残る。

置いておくと、一面の一番でかい見出しくらいは目に入ります。「あー、総理またやっちゃったか」「北海道たいへんだな…」「アメリカまじかよ」くらいの感想はもてます。あわよくば第二見出しとか、下のコラムの書き出しとかも目に入ったりします。興味があったら読めばいいし、なければスルーすれば良い。それくらいでいいんですきっと。

日報抄

私は地元の、新潟日報という新聞を購読しています。新潟日報の場合、さっきのコラムは「日報抄」というタイトルです。毎日これ書くのすごいな…って感心しながら、読んでます。さっき、読まない、みたいなこと書いたけど、なんだかんだ言ってこの「日報抄」だけは毎日読んでます。

「毎日これ書いてる人すごい」という発想から、「おれはこれ毎日書いてない」→「せめて毎日読もう」ってなりました。

社会派的なことはもちろん書いてあるんですけど、筆者の経験談とか、ハートウォーミングなエピソードとか、そういうのも交えてあって、楽しく読めるんですね。

で、興がのってきたら、4面か5面くらいにある「社説」も読みます。これはモロ社会的なことが書いてあって、どちらかというとリベラル寄りな気がするんですけど、これを読んで、「ふむふむ、なるほど、たしかに、そうだよな」という感想を持つことにより、大人として社会人として納税者として、一定の義務を果たしてるような気になります。

あと土曜だか日曜の紙面は特集とかも面白い。アルコール依存症に苦しむ人の取材記事とか、新潟で起業してる人のインタビュー記事とか、読み込んじゃいます。

共有空間で眺めるのにちょうどいい

新聞って、リビングとか、あるいはオフィスでもいいんですけど、共有空間で眺めとくのにちょうどいいな、って思います。

周りに人がいるときに、例えば文庫本とか読み出すのはちょっと気が引ける。周囲をシャットアウトするぞ、という空気を出してしまうし、本に集中できません。かといってテレビをつけとくのはうるさい。スマホ覗くの疲れる。

そんなとき新聞です。新聞は、読むんじゃなくてぼんやり眺めることができる、という性質も持ってますから、ガチで読まなくてもいいし、話しかけられたらさっと目を上げて会話をスタートできます。

雑誌でもいいんですけど、雑誌だと、「BRUTUS」にしろ「サッカーマガジン」にしろ「週刊文春」にしろ自分の趣味が入っちゃってるから、別の言い方をすると、こちらから「読みに行ってる」ムードが出ちゃいます。なので少し「ジャマするな」という空気が漏れちゃうんですけど、その点、新聞は、毎日勝手に投函されてるものだし、ある意味「受け身」な雰囲気で接することができます。そういう意味で気楽に向き合えるんです。

何言ってるんでしょうか。

新聞、とっててよかった。

ぴゅう。(´ε｀ )

新潟日報さん、これからもよろしくおねがいします。