こないだTVのニュースで、こんな場面を見ました。
「メタバース」というバーチャル空間を取材するおじさんキャスター。
VTR終わり、若い女性キャスターが一言「以前はこういうものに興味がなさそうだったのに、あんなに目をキラキラさせていらっしゃって」
おじさん、ちょっとムッとして「いやぜんぜん興味なかったわけじゃないですけどね」
若い女性「いや、あの○○さんがあんなふうになるなんてメタバースってすごいんですね」
おじさん「あの○○さん、の、「あの」っていうのがなんか気になるな」
だいたい、こんなようなやりとり。
若い女性キャスターはちょっと気まずそうに、おじさんキャスターはちょっとムッとしてました。
見てた感じだと、若い女性キャスターは、おじさんをイジるようなつもりは全然なくて、「メタバースにはだれでもハマってしまう」ということを、おじさんを使って表現したかっただけ、のようでした。
あとおじさんキャスターの方も、反射的にムッとしてしまったけどたぶんその後すぐに反省して、さいご冗談ぽいことを言ってこのコーナーを締めていました。
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若いキャスターも、おじさんキャスターも、「そんなつもりじゃなかった」はずです。「そんなつもりじゃなかった」のに少しだけ事態がねじれて、変な空気になった。
そしてこういうのは、わざわざ謝るほどでもない。謝ったら、これが「正式な事故」として認定されてしまい、改めてぶり返してしまう。
という、ちょっと微妙なラインのすれ違いでした。
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「そういうつもりじゃなかった」のに、たぶん相手に間違って伝わってしまって、誤解を解きたいけどそうする機会もない、ってこと、よくありますよね。
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私もこないだ、車で出ようとする時、向かいに車が止まっていて出られなかった時があったんです。見ると、向かいの家のおばあちゃんと、小さな子ども連れの若い女性が車の脇で立ち話をしていました。
私は特に急いではいなかったので、「ゆっくり話してていいですよ、急いでませんから、待ってますよ」という雰囲気を出したくて、微笑みを浮かべながら運転席で待っていました。そのつもりでした。
でも彼女たちにはそう伝わらなかった。早々に運転席に座ってしまったことが良くなかったのかもしれません。微笑みを浮かべてたつもりが、マスクのせいでかき消されてしまった、というのも一因かもしれない。
若い女性は、運転席で待つ私を見ると、急にピッチをあげて喋りだし、会話を切り上げました。そしてそそくさと車に乗っていってしまいました。おばあちゃんの方も、車で出ていく私の方に手を合わせて「ごめんなさいね〜〜〜〜」と深々と頭を下げていました。
そんなつもりじゃなかったんだけどなぁ
申し訳ないことをしたなぁ
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いくつもの「そんなつもりじゃなかった」をやり過ごして、私たちは大人になってきました。回収されることのない「そんなつもりじゃなかった」の亡霊たち。供養してやりたい。でもそれを一つ一つ供養するほど現代人はヒマじゃなくなってしまいました。無念。
ぴゅう。(´ε` )
このくらいの出来事だったらいいけど、人生には、もっと大きくて重い「そんなつもりじゃなかった」が潜んでいます。その多くは、もうあとからは取り返せないことだったりしますよね
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ここに書かれた「そんなつもりじゃなかった」ことたちは、供養されて成仏したと思います。南無三。
ぴゅう。(´ε` )
もっともっと供養したいものがたくさんあります…