第26節「くやしい」
水曜夜のビッグスワン。なんと10連勝中で2位に浮上したアビスパ福岡を迎えてのホームゲーム。敵将・長谷部茂利監督は9月のJ2月間最優秀監督に選ばれたとのこと。アウェーで戦ったときとはひと味もふた味も違ってるはずだ。
アルビにとっても昇格争いに絡むためには絶対に負けられない試合だった。
いや、本当に惜しかった。気持ちは見られた。あと一歩の差だった…
福岡の守備がハイレベル
アルビは4-2-3-1でスタート。選手の構成も前節をベースにしている。アルベルト監督は前節の選手のポジションどり、関係性にかなり手応えを感じているんだろう。
GK小島。DF右から田上、マウロ、舞行龍ジェームズ、早川。ダブルボランチに福田、島田。中盤前め、右から中島、高木、本間。1トップはファビオ。
福岡は4-4-1-1。前線にフアンマ、右サイドにエミル・サロモンソンがいて、他のポジションにも質も高い選手が揃ってる。
立ち上がりから福岡の攻勢。というか守備が仕上がりすぎてる。
福岡の前線の守備、新潟のDFラインのビルドアップをさせまいと、CBとボランチにしっかり人がついてくる。サイドバックも含め、けっこうハメられてる印象。新潟はつなぎが窮屈になり、苦し紛れのフィードが増える。
ここは研究されたとこなのかもしれないが、前節でうまくいってた形:サイドバックが中よりにポジションを取って、サイドハーフが大きく開いて幅をとる、これで組み立てようとすると、ボランチがけっこううまくやらないと後方からのボールの出口がなくなる。ここを抑えられてたので新潟は苦しかった。
で、福岡は奪ってからのカウンターが速い。フアンマをターゲットにして、シャドーの遠野、サイドの福満と増山がスピードとクイックネスを活かしてガンガン飛び込んでくる。
決定的なシュートをけっこう打たれ、それでもGK小島の好セーブで凌いではいたものの、ついにセットプレーから失点。先制される。
「福岡強え…」と、正直思った。
あと、これは試合を通して思ったことだけど、福岡の守備が鍛えられまくってて、かなりハイレベルだった。
全体の守備の統率(どこでどう守るかのチーム共有、切り替え)ができてる。そして個人の守備意識が極めて高い。サボらないしポジショニングがいいし対人に強い。
特にサイドの守備。両サイドハーフが、新潟のサイド深くまで戻ってくる。並大抵の運動量ではない。戻るだけでなく、ボールを奪う。そして奪ってまた前線へ出ていく。
サイドの守備が担保されてるので、中央も安定する。ボランチは細かく位置調整し穴を開けない。CBは人にめっぽう強い。
10連勝で2位、納得である。
新潟の調整と圧巻のカウンター
福岡の守備は試合を通して素晴らしかったが、少しずつ新潟もペースを掴む。あれだけのハイペースの守備とカウンターを90分続けるのはたぶん物理的に無理なんだろう。
新潟は後半から左サイドバックをチェンジ。早川に変えてクロッサー荻原投入。考え方を少し変えた。
そのあと後半10分すぎにも右MFに大本、トップ下にロメロ・フランクをそれぞれ投入。
御役御免となった高木と中島だが、前節ほど流動的に動いてなかった気がする。中島が、前よりもっとワイドに開きタッチライン際に張るようになったため、高木の移動や状況に応じてのポジションチェンジが減った。
たぶん前節までよりさらに意識してポジショニングを整理したんだろう。サイドバックは意図的に中よりの位置取りをし、田上なんかはかなり積極的にインナーラップしてた。
これはこれでいいと思うが、福岡に研究されてたのと、逆に中盤での流動性が失われた感もあった。
で、後半は、左は荻原、右は大本からクロスを入れ、中のターゲットマン(ファビオとロメロ、途中出場のチョン・テセ)に合わせるという、シンプルなやり方に変えた。本間至恩には前半より自由が与えられ、少し中央寄りで神出鬼没な動きができるようになった。
こういう調整ができるのが今の新潟の強み。ここまで試行錯誤を重ね、選手にもいろいろな役割を与え続けてきた賜物だ。
同点に追いついたときはかなり盛り上がった。セットプレーからのゴールだったが、新潟がペースを握り返した末の帰結だったんだと思う。
しかし傾きかけた流れを、福岡のロングカウンターで再び奪い返されてしまった。
あの、ロシアワールドカップ・ベルギー戦を想い起こさせるような、ゴール前からゴール前への、圧巻のカウンターアタック。
立役者はずっと良い働きを続けていた両サイドハーフの増山と福満。これはやられた。衝撃がでかい。ムードを一気にひっくり返された。
その後試合終了までアルビはがんばった。がんばってゴールに迫った。が、届かず。福岡のスキのない堅守が復活し、最後まで崩せなかった。
悔しい敗戦。だがまだシーズンは続く。上を向いていきましょう。
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