第14節「初黒星」
2021シーズンのJ2リーグ、首位をひた走るアルビレックス新潟の無敗記録は、13でストップした。
新潟に土をつけたのは、16日、歴史的な日を迎えた町田ゼルビア。
全員が「どうしても結果を」と飢えに飢えている感があった町田は、新潟を止めるのに値する戦いぶりだった。
こけら落とし
この日は、新スタジアム「町田GIONスタジアム」のこけら落としだった。
町田ゼルビアは永らくJ1ライセンスが持てなかったチーム。つまり、「J2で昇格要件を満たしてもJ1に上がれない」という、哀しみを湛えていた。実際2018年、4位に食い込みながら泣く泣くプレーオフ不参加となったのは記憶に新しい。
J1ライセンスで町田が満たせなかった条件は、「1万5千人以上が入場可能なスタジアムを有すること」「設備基準を満たしたクラブハウス、天然芝またはハイブリッド芝ピッチを1面以上有する専用の練習場を用意すること」といったものだったが、この「町田GIONスタジアム」の完成によりついに念願のJ1ライセンス基準を満たすことが出来た、というわけである。
で、首位アルビレックス新潟とのホームゲームが、想いの詰まった町田GIONスタジアムのこけら落としになった、という。
舞台、整いすぎ。
町田の気迫は当たり前以上に当たり前。アルビもそれ以上の気迫で押し返さなければならなかった。
立ち上がりの怖さ
アルビはスタメンに、鈴木孝司が復帰。
GK阿部航斗。DF藤原奏哉、舞行龍ジェームズ、千葉和彦、堀米悠斗。MF高宇洋、島田譲、谷口海斗、高木善朗、本間至恩。FW鈴木孝司。
ワントップには鈴木が入り、鈴木不在時に結果を出した谷口は右ワイドにまわった。谷口は前節松本戦でも左に開いていいプレーを見せていたように、サイドでも活きるタイプ。この配置でまたいい化学反応が生まれることを期待。
町田もアルビと同じ4-2-3-1で入り、ほぼミラーゲームとなる。中盤の底に司令塔タイプの平戸大貴を置き、トップ下にフィジカルに優れる長谷川アーリアジャスールを配置するあたり、ポポビッチ監督のこだわりと策略を感じる。
この試合を見たほぼ全員が言うだろうが、「立ち上がりが全て」だった。
「こけら落とし効果」がはっきり分かる町田ゼルビアの立ち上がりは圧巻。
開始1分、それから11分に、右サイドを崩して中で合わせる、という似た形で立て続けにゴール。
アルビは0-2とされてしまう。
当然、今季のアルビでこんな展開は初めて。面食らう。前半しばらくはこのショックからチーム全体が脱することが出来ない様子で、いつものパスワークが影を潜めた。
それに加え、町田の強烈なプレッシング。長谷川アーリアジャスールが効いてる。あのサイズで機動力があり、当たりも強い。彼がCB、ボランチ、時には味方と連動してサイドバックにまでプレッシングをかけてくる。圧が強い。
立ち上がりのショックから脱しきれない新潟と、果敢な町田、という構図で前半終了。
取り戻した後半
後半は、我に返った新潟が、少しずつ本来の姿を取り戻す。どんな状況でも、試合ごとに状況を分析し、全員で攻め手を共有できるのがアルビの強み。
町田も前線にFWドゥドゥを投入するなど、カウンターの鋭さを見せつつ、前のめりになるアルビを牽制する。
それでも少しずつ、アルビのボール保持位置が前に上がり、左右の揺さぶりを交えながら町田ゴールを脅かし始めると、キャプテン堀米の素晴らしいシュートが炸裂。ペナルティエリアの角あたりから、クロスと見せかけゴールネットのニア上部に突き刺した。これで1-2。アルビは攻勢を強めていく。
その後アルベルト監督お得意の選手交代で、攻撃のギアをさらにUP。三戸舜介と星雄次を投入。三戸はここ最近やってる右サイドに入り、星は中で高木と並ぶ。
サイドプレーヤーだった星は、ここ数試合でトップ下のような役割を与えられている。今日はすごくよかった。神出鬼没。後ろのボールの出し入れにも積極的に関与して、受けてはたいて動いて受けて、を繰り返す。チームにリズムを与える。スタミナもスピードも充分なので、これをずっと繰り返していられるし、前後左右に稼働範囲も広い。
後半、いつものリズムを取り戻して、終盤は町田を自陣に張り付かせたアルビだったが、最後のひと差しが出来ず、1-2でフィニッシュ。ざんねん。
最後、町田の鄭大世がでてきたな。ボールを追い、体を張り、時間を作る。去年はこの人に、大いに勇気づけられた。プロフェッショナルな姿は変わっていない。
負けたけど、まだ首位なのだ。大事なのは次。ホームの京都戦。一戦必勝の構えである。
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