第39節「定点観測の愉しみ」
今日のアルビはのびのびしてましたね。愛媛の守備ブロックを、工夫とコンビネーションで崩してました。残り試合、それから来季もこういうサッカーが観たい!
試合の背景
- ビッグスワン。土曜14:00キックオフ。雨。
- 新潟は7位、愛媛は残留争い中の20位
試合ダイジェスト
【前半】
全体的に新潟ペース。10分過ぎくらいから引いて守る愛媛に対し、新潟はボールを保持しつつ随所で効果的なタテ、ナナメパスを織り交ぜ揺さぶる。31分、セットプレーからロメロが頭で押し込み先制。1-0で前半終了。
【後半】
後半も引き続き新潟が主導権を握る。途中、センターFWタイプの鈴木と高澤を同時投入しつつもバランスを崩さず厚みのある攻撃。終了間際に攻勢をかけてきた愛媛を押し返し、PKで追加点。2-0で終了。
定点観測
雨のビッグスワン。愛媛FCは残留争いのまっただなか。きっと鬼気迫る思いで新潟まで乗り込んできたことだろう。選手もスタッフもサポーターも。
新潟は昇格も残留も争っていないけど、それを受けとめ、それ以上の熱量でこの一戦をたたかうのがプロの流儀のはず。
新潟は前節からスタメンを3枚入れ替え。
GK阿部航斗。DF藤原奏哉、千葉和彦、舞行龍ジェームズ、堀米悠斗。MF高宇洋、島田譲、ロメロ・フランク、高木善朗、三戸舜介。FW谷口海斗。
アルベルト監督はここ数試合スタメンを固定せず、いろんな選手をピッチに送り出している。これまでの主力だけでなく、試合に絡めていなかった選手も出番を得て躍動してる。それがたぶんいい刺激になって、昇格のなくなったチームに活気がもたらされているんだと思う。
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ところで、残留争い中の愛媛はともかく、昇格も降格もなくなった我らがアルビ。言わば消化試合となったゲームをみ続けることに意味はあるのか。
ある。
昇格や降格がなくなっても、選手やスタッフは、シーズンを最後まで戦い抜く。プロとして。サポーターのために。自分のために。それを見届けるのがファンの役目だ。
っていうのももちろんそうなんだけど、ちょっと違う視点もある。
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「定点観測」である。
サッカーは全世界で親しまれる人気スポーツだから、観ようと思えばいつでもビッグゲームが観られる。レアル・マドリーvsバルセロナとか、マンチェスター・ダービーとか、ビッグロンドン・ダービーとか、Jリーグ王者の川崎フロンターレも毎試合観られるし、チャンピオンズ・リーグも、各国のワールドカップ予選もいつでもどこでも観られる(DAZNのおかげ)。そしてそれはどれをとってもだいたいスペクタクルだ。毎試合デラックス焼肉弁当を食べている感覚。常におなかが満たされる。
それでも、こういうビッグゲームばかりみ続けることが、サッカーのすべてでは、もちろんない。サッカーには「シーズン」があり、各クラブはシーズンのスケジュールに合わせて計画を立て、状況に合わせて調整し、目標に合わせて戦略を練る。シーズンを通して、クラブと苦楽を共にする、という愉しみ方も確実に存在する。
長いシーズン中にはいろんな事が起こる。上位とのたたかい、下位とのたたかい、○連勝中、○連敗中、主力が怪我で離脱、若手の初出場、ベテランの奮起、過酷なアウェー連戦、昇格争い、そして昇格が消えた後のゲーム…
それぞれの局面でそれぞれのドラマがあって、心理がある。そして相手や状況に合わせた戦い方があり、ゲーム展開がある。それをずっとみ続ける、というのは、それはそれで愉しいものだ。
納豆ご飯、卵かけご飯、トースト、お茶漬け、朝ラーメン。毎日の朝食を記録していくように、シーズンを通してチームを「定点観測」する。
そうしてると例えば「今日の納豆はなんか味が濃い」とか「トーストにはハムよりベーコンをのせたい」とか「今日から牛乳をやめてヨーグルトにしたな」とか、そういう事が見えてくる。
要するに、ずっと同じチームをみ続けてる人にしか分からない喜びというものが、あるのだな。まあ、ファン・サポーターにとっては普通の感覚なんだろうけど、「サッカーファン」という括りでいろんな試合を見てる人は、時にこういう見方もオススメです。
のびのび
話が脱線して、ゲームの内容に触れるスペースがなくなってきた。
今日の愛媛は、アルビをリスペクトし、かなりゲームプランを練り込んできた感じだった。基本的には守備から入るイメージで、5-2-2-1で構える。ボランチにはベテラン山瀬功治が健在。全盛期はシャドーの位置から裏に抜けて細かいタッチでペナに侵入していくプレーの印象が強かったけど、今はちょっと引いた位置でバランスをとり、攻撃と守備のスイッチを入れる役割をしてる。
愛媛、立ち上がり10分くらいまでは前からガンガンあたりに来て、その後は引いてブロックを作った。少し後ろが重たい感じはした。それから中盤の2-2が中央寄りのケアをしてて、サイドバックも最終ラインに入って前に出られないから、構造上アルビのサイドバックは比較的自由を与えてもらえた。
アルビは、2列目の高木、三戸、ロメロのボールを引き出すポジショニングが絶妙。愛媛の5枚のDFライン、それから2枚のボランチの間、「どっちがマークつく?」って迷わせるような位置取りを、3人とも続けていた。特に三戸はいつもと違う左サイドに入ったけどなんか動きやすそうだったな。ちょっと中寄りに入ってゴールに対して半身の姿勢で後方からのボールを受け、いい位置で何度も前を向いていた。
2ゴールはどちらもセットプレー(コーナーキックとPK)からだったけど、全体としてアルビのゲームだったのは間違いない。
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おそらくモチベーションコントロールが難しいここ数試合、それでもアルビはきちんと目的意識を持って戦ってくれてると感じる。今日は選手がのびのびと動いて、有機的に絡んでいて、攻撃の流れをみるのが楽しかった。
このところ少し停滞感があったのは確かだけど、今日のゲームを見ると、今シーズンのいいときのアルビが思い出される。うん、こうだったこうだった。こういう試合はやってる方も楽しいんだろうな。
これが残り試合、そして来季にもつながってくれるといいな。
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