第40節「アルベルト監督が築いたもの」
アルベルト監督が今季限りで退任の報を受けての試合。
90分のほとんどを、ボールを持ちながら群馬陣内で過ごしました。これぞアルベルトサッカー、ってのを堪能させてもらった気がします。
試合の背景
- 群馬ホーム、正田醤油スタジアム群馬。日曜14:00キックオフ。晴れ。
- 新潟は5位、群馬は残留争い中の16位
試合ダイジェスト
【前半】
新潟が小気味よくパスを回しボールを保持。群馬はボールの奪いどころを定められず、引かざるを得ない状況。新潟は何度かゴール前で決定的なチャンスを作るが、群馬GKのビッグセーブもあり得点できず。0-0で折り返し。
【後半】
引き続き新潟が主導権を握る。ただ群馬は前半よりも守備が整理され、ボールを持たれながらも大事なところへの侵入頻度は減。新潟は最後まで、丹念に空いているところを探しながら攻めるが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。0-0、スコアレスドローで終了。
相手陣内で
今季も残り3試合。群馬に乗り込むアルビのスタメンは、やはり前節から若干の変更あり。
GK阿部航斗。DF長谷川巧、千葉和彦、舞行龍ジェームズ、田上大地。MF高宇洋、福田晃斗、ロメロ・フランク、高木善朗、三戸舜介。FW鈴木孝司。
長谷川や田上、福田、鈴木が先発復帰。そしてどの選手も気持ちの入ったいいプレーを観せてくれた。このあたりのモチベーション・コントロールが監督、さすが。
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ザスパクサツ群馬はJ2降格争いをしており、負けられない、勝点欲しい。あともう一つのトピックとしては、元日本代表、ドイツでも永く活躍した細貝萌の初先発か。35歳の懐かしい顔がこの舞台で、アルビの相手として観られる。高木や三戸を削りにくる。ワクワクする。
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立ち上がりからゲームはアルビペース。すごく良くボールが回ってた。
群馬の4-4-2はたぶんもっと前からプレッシングに行きたかったんだけど、2トップがDFラインに当たりに来たら、アルビはボランチのどちらかが下がって、千葉、舞行龍+1で組み立てる。「誰が」というのではなく「誰かが」局面ごとに数的優位を作る仕事をする。もうひとりのボランチは必ず群馬のセンターハーフの間に立って、二人をピン留めする。
サイドバックは高い位置をとり、前の中盤3枚は、これまたDFラインと中盤の間(ライン間)、サイドと真ん中の間(レーン間)にポジションをとる。ここまで全員が「間に立つ」ことが徹底されてると、群馬はマークが本当に付きづらいだろなあ、と思う。
群馬は撤退戦を余儀なくされた。引いてゴール前を固める。中央は細貝と岩上祐三が踏ん張る。左右に揺さぶられながらも、前に後ろに、ボールに食らいつく。サイドにボールが出たら、サイドプレーヤーと連携して追い込みに行く。運動量もそうだけど、読みもないとスライドが遅れ、やられるだろう。でも大きな破綻はなかった。さすがの両ベテラン。
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それでもゲームを支配しているのはアルビ。相手陣内でボールを回し続ける。押して引いて、左右に揺さぶって。ボールの出し入れが、ぽんぽんぽん、とリズミカルに続く。やっている方も気持ちよさそう。
こういうのは、サッカーの純粋な楽しみだよなあ、と感じる。リスクを考えるなら、相手にボールをもたせてバランスを崩させる、後ろを空けさせる、でも自分たちは崩さない、っていうほうが勝点を拾いやすいかもしれない。
それでもアルビは、自分たちでボールを持って、ポジションを自由に入れ替えながら、相手を動かしていこう、というサッカーを身につけた。奪われた瞬間にこちらの陣形は整っていないから、当然失点リスクは大きい。だからとられたら、その場ですぐ取り返さないといけない。取り返せれば、攻撃を続けられる。でもすり抜けられたら大ピンチになる。これが常にあるリスク。でもやる。これが気持ちいいから。これが良いサッカーだと信じているから。
そして信念を曲げずこのサッカーを続けて、今季は昇格まであと一歩、というところまで行った。文化が根づいて、しかも強くなった。
繰り返すが今日の群馬戦は、ほとんどの時間を群馬陣内で過ごすことができた。今日のアルビのサッカーは完成形に近かったんじゃないだろうか。
満足
何度もゴール前に迫りつつも、最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。0-0、スコアレスドロー。群馬のベテランGK、清水慶記を中心に、ギリギリのところで守りきられた。群馬の魂を讃えたい。
得点は奪えなかったけど、満足だ。今日のアルビのサッカーは楽しかった。各チーム、戦力的にそこまで大きな差はないJ2で、これほどまでに相手陣内でサッカーできることってあるだろうか。そうそうないんじゃなかろうか。アルビは明らかに「サッカーの質」で勝負していて、相手をゴール前に張り付かせている。
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今季限りでアルベルト監督は退任する。予想はしていたことなので、あまり大きなショックはない。アルベルト監督が新潟に残してくれたものを、ぜひ大切に育てていってほしいと思う。
ああ、でもその前に。アルベルト監督とともに過ごす残り二試合を、まずは全力で楽しもう。
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