第39節「ストライカー」
クラモフスキーの山形は普通に強くて、知的かつ熱い、いい試合を観せてもらいました。刈り取る!と抜け出す!がせめぎ合う、ハイプレスとビルドアップの局地戦。85分の同点ゴール、谷口のストライカー感が詰め込まれてましたね。
試合の背景
- 10/1 土曜14:00キックオフ
- @NDソフトスタジアム山形
- 新潟首位、山形はプレーオフ圏内に迫る7位
アルビレックス新潟・スタメン
GK小島享介。DF藤原奏哉、早川史哉、田上大地、堀米悠斗。MF高宇洋、秋山裕紀、三戸舜介、伊藤涼太郎、イッペイ・シノヅカ。FW鈴木孝司。
【途中出場】小見洋太、谷口海斗、星雄次、松田詠太郎。
試合ダイジェスト
【前半】
新潟がボール保持しいい入り方をするも、徐々に山形が押し返し、ペースを握る。34分、山形が先制。CK、一度はかき出されたボールを國分が再び放り込み、ヘディングでの落としにディサロがうまく合わせた。山形ペースのまま、0-1で前半終了。
【後半】
新潟はハーフタイムで谷口と小見IN。立て直しを図る。少しずつ主導権を奪い返し、伊藤涼太郎のミドル、CKからの決定機など山形ゴールに迫る。85分に同点弾。左サイド堀米からのパスを受けた谷口が反転して右足を振り抜いた。1-1で試合終了。
全員が主力
この試合に勝って、日曜日に3位ファジアーノ岡山が引き分け以下ならJ1昇格が決まる。
ということはファンの間ではとても重要な話題だが、チームにとってはおそらく関係なくて、今までと変わらぬ一戦必勝。それが松橋力蔵スタイル。今日も「不動心」と形容したくなるまっすぐな瞳で試合前インタビューに応えていた。「全員が主力」という言葉は、今季の選手起用と実績が充分に裏打ちしている。現代サッカーの強いチームは、「全員が主力」であることがかなり優先度高めな条件なのではないだろうか。
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モンテディオ山形は、本当にアルビと似ている。志向するサッカーが似ている。ボール保持、ハイプレス、即時回収のサイクルを回したい両チーム。
立ち上がりは、アルビに軍配。「どちらが先に自分たちのリズムを作れるか」という勝負では、おそらくアルビが上回っていた。
だが、その後、山形が盛り返した。ハイプレスを駆使し、アルビに呼吸をさせない。アルビ陣内でボールを動かし、ゲーゲンプレスっぽく奪われるとすぐにハメに行って長いボールを蹴らせたところで回収する。前半のアルビは苦しかった。山形は手強く、芯がある。真っ向勝負でアルビとやって、前半は圧倒していた。
だからディサロ燦シルヴァーノの先制ゴールは驚かない。押し込まれ、喘いでいたところを撃たれた。2年前J2北九州で爆発し清水を経て山形にたどり着いたストライカーのシュートセンスは見事だった。
立ち位置が変わり、ボールの流れが変わる
前節大宮戦は、後半の3枚替えがギアチェンジのスイッチとなった。今回もそうで、ハーフタイムの谷口&小見INがチームのギアを上げ、相手の守備にギャップを生んだ。
前節とは反対の交代だというところが面白い。前節は、鈴木孝司とイッペイ、秋山が入って流れを変えたが、今回はその3枚が退いて、谷口と小見、星が入った。
アルビのベースは立ち位置を意識したボール保持。だがその上で、選手によって立ち位置がズレ、ボールを受ける位置が変化し、結果的に全体のボールの流れが変わる、というのも大きな特長。そしてこれがそのまま強みになっていると思う。
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後半のアルビは少しずつ山形を切り崩していった。先制した山形は、他の多くのチームとは異なり撤退戦にはいかない。ハイプレスを継続する。だがこれはこれでリスク。
少し甘くなるとビルドアップの出口が生まれ、そしてアルビのクオリティならいい状態でゴール前まで前進できる。
「ここで獲る!」というところでボールを奪えないと、奪うポイントに人数をかけている分、他は手薄で、一気にピンチになる。逆に抜け出した方はチャンス。新潟vs山形は、自陣での局地戦で刈り取り切るか、抜け出すか、という勝負だったとも言える。
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85分、谷口海斗のゴールは「これぞストライカー」だった。感覚で放った一発。横パスを受け、反転し、DFの股を抜いてニアに突き刺す。この一連の動き。これこれ。これなんだよな。
ディサロのゴールも谷口のゴールも一級品で、日本人ストライカーも素晴らしいんだぞ、ということを言いたいのです。
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J2順位(39節終了時)
1位:新潟 勝点78
2位:横浜FC 勝点77
3位:岡山 勝点69
岡山が黒星で足踏み。次節、昇格が決まるかもしれない。
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