第28節「原点回帰」
90分通してアルビがゲームをコントロールしていました。が、最後の点を取るところ、ファイナルサードでの迫力不足は否めず。スコアレスドローでのフィニッシュは歯がゆいですね。それでも、本来のアルビのサッカーが戻りつつあるので、きっと次に繋がるはずです。
試合の背景
- ビッグスワン、土曜日18:00キックオフ
- 新潟は前節のショッキングな敗戦により4位後退
- 北九州は降格圏の19位だが、ここ3試合は負けなし
試合ダイジェスト
【前半】
新潟も北九州も後方から丁寧に組み立てるサッカーをし、かつ、両チームともDFラインには激しくプレスに行かないので比較的スローなテンポで試合が進行。このテンポなら新潟が一枚上手で、新潟がゲームをコントロールする。ゴールは決まらず、0-0で折り返し。
【後半】
新潟が少しテンポを上げる(タテへのスピード、球際、プレッシング)。前半と似たような流れで新潟ペースが続くが、点が入らない。新潟は鈴木、高澤の両FWを投入し前線に人を集めるが、スコア動かず。左右に揺さぶる新潟の攻撃を、北九州が耐え抜いた格好で、スコアレスドロー。
まったりと前進する
前節水戸戦、0-4のショックからどう立ち直るか。いや、立ち直ってほしい…!という切なる願いが込められたホームゲーム。
カタールW杯アジア最終予選も始まっていて、初戦のオマーン戦0-1も相当ショッキングだった。なんか嫌なムードなんだよなぁ。。。
アルビのスタメン、変更あり。
GK阿部航斗。DF藤原奏哉、早川史哉、舞行龍ジェームズ、堀米悠斗。MF高宇洋、福田晃斗、ロメロ・フランク、高木善朗、本間至恩。FW谷口海斗。
ここ数試合、色々な組み合わせ、配置を試していたわけだけど、このメンバーはどことなく「原点回帰」感がある。シーズン序盤、目をつぶっていてもゴールに迫れた頃のサッカーに戻れそうなメンバー。狙いがはっきりしていると言うか。
ロメロのところでタメる。本間が突っかけてペースチェンジする。高木は自由に動いてボールを引き出す。谷口がフィニッシュ。
ギラヴァンツ北九州は、開幕戦で当たってすごくいいイメージがある。とはいえ小林伸二監督は経験豊富な名将。手ぶらでビッグスワンに乗り込んでくるわけがない。
立ち上がり。比較的スローテンポで試合が進む。
アルビも北九州も、後ろから丁寧につなぎたい印象。むやみにボールを蹴って、カオスを作り出すということはしない。
そして、前線からのプレッシングも両者それほど激しくない。例えばお互いのセンターバックを狩りに来るということはなくて、相手のセンターバックが持ったらボランチ付近まで撤退して構える、という守備をやっていた。
そういうわけで、比較的整理された状況で、攻守が順番に入れ替わるような展開に。めまぐるしくない。
それぞれが状況に応じて的確なポジションを取り、落ち着いて配給していけば、セオリーに基づいた攻撃が可能になる。そんなピッチ上だった。
そしてこのサッカーならアルビに一日の長があるように思える。案の定、アルビがゲームをコントロールしていた。
攻撃で効いていたのは、左右の揺さぶり。
片方に人を集めておいて、空いている逆サイドに展開する。北九州のスライドが間に合わない間に、広大なスペースを突く。これをチームが意識を統一して行う。
集中と拡散を、丹念に行う。集めて、散らす。空いたところを丁寧に狙っていく。右に集めて、左に揺さぶる。両サイドで幅をとって、広がった中央を突く。
こういうことができてきて、チームとしての攻め方が見えたので、面白かった。
ていねいに攻めるので、攻撃の鋭さやスピード感をそれほど感じなかったが、まったりと、着実に前進していた。なんだか大人のフットボール。こんなサッカーができるのはチームの成熟の証だと思う。
ただ、北九州の最終ラインも耐えた。右に左に揺さぶられ大変だったろうが、5-3-2気味にしてなんとか辛抱していた。
前が重すぎるのも難しい
終始アルビペースだったんだけど、なかなか点が入らない。北九州にも「これは!」というシーンは何度かあり、肝を冷やした。ペースを握るものの点が入らず、ワンチャンスを決められひっくり返される、というのはサッカーではお決まりのストーリーなのだ。
それでも今日のアルビはリスクも最小限にできていたと思う。高と福田のダブルボランチが、ほんとに広範囲をカバーしていた。基本的にじわじわと相手陣内に押し込んでいるので、ボールを失っても、前向きに、強めにセカンドボールにチャレンジできる。そして二人には読みの鋭さもある。拾いまくって、二次攻撃三次攻撃につなげていた。
ロメロ・フランクは右サイドで体を張って起点になっていた。本間至恩も左サイドからキレのあるカットインを繰り出していた。谷口が相手とうまく入れ替わってシュートを打つ場面もあった。
狙いはハマっていたし、それぞれのプレーに確信があった。
ただ、点が入らなかった。
谷口の1トップは、可能性を感じるんだけどベストではないのかもしれない。最前線ではなくシャドー、ウィングから入ってくる形が一番迫力がある。
それはアルベルト監督も分かっている。
終盤、鈴木孝司、高澤優也を投入し、前線を分厚くした。谷口を外に出した。
さあ、ラフなボールでもいいから、クロスを上げてくれ!という体勢を整えた。
だがなかなか有効なボールが前線に入ってこない。
このサッカーは、まだアルビの文化じゃないのかもしれない。試合中にサッカーのやり方を切り替えるというのは、そうそう簡単なものじゃない。11人が足並みをそろえないといけないし、動き方も距離感も少しずつ微調整しないといけない。
この日は、終盤、点を取りに行くための布陣で、前線が渋滞し、スペースがなくなった。北九州は、圧力は感じただろうが、的がはっきりして守りやすくなったかもしれない。
この傾向は、最近よくある。
ただ、これは確実にアルビを強くするオプションの一つになる。完成が待たれる。
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最後に、久しぶりにスタメン出場の早川史哉。
ポジションやプレースタイルは違えど、バルセロナのセルジ・ロベルトみたいだな、と思った。
ボール保持、非保持に関わらず、常に味方を活かすために適切なポジションを取る。組み立ての流れを殺さず、加速させる。自分は黒子に徹し、周囲の選手にやりたいプレーを気持ちよくやらせる。ほしいときにボールを渡し、いてほしい場所に居る。11人の中に、一人か二人はいてほしい選手。
今日もとてもクレバーで気の利いたプレーをしていた。そして守備のセンス。足の出し方や身体のぶつけ方が的確だから、あのサイズで堂々とセンターバックができるんだろう。
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